幸せになってほしかった。幸せになりたかった。皆まとめて。
だからまず俺が笑おうと思った。皆に笑ってほしかったから、まず俺が笑った。
笑顔は少しずつだけど増えていった。本当に少しずつだけど、笑顔が自然と生まれるようになっていった。
俺はといえば、どんどんよくなっていく皆を見るのが嬉しくて。ただそれを見ているだけで幸せで。
だから、一番大事なことを忘れていた。いつから忘れていたのかも、もう思い出せない。
みんなまとめて幸せになれないと意味がない。
だけど。
いつの間にか、「みんな」に「俺」がいなくなっていた。
きっと今は、みんなそれなりに楽しくやれている。俺が笑わなくても、きっとみんな笑える。
俺がいなくても、みんなで楽しくやっていってほしいって。ずっとそう思ってた。初めから、それだけが俺の願いだった。
だから、限りなくそれに近づきつつある今のこの時を、俺はただ喜べばそれでいいはずなのに。
誰かが俯いてるのなら、笑いかけてやればいい。
でも、初めからそこに笑顔があるとしたら。俺が笑わなくても、みんな笑えるのだとしたら。
だとしたら、俺はどんな顔をすればいいのだろうか。
いつだってそうだった。俺が太陽のように輝いていられるのは、誰かを照らしていられるとき。月たる彼らに、負が淀んでいるときだけで。
彼らが一たび自ら輝き出したら、俺の輝きはもはや必要なくて。そんなとき、俺はどうすればいいんだろう。どうすれば、よかったんだろう。
どうすれば俺もまとめて幸せになれるのか。わからないから。
みんなに幸せになってほしいから、みんなの不幸を俺は笑おう。
みんなが幸せを謳歌しているなら、みんなの幸せを俺は祝おう。
たとえそこに俺がいなくても。
人の不幸の上でしか輝けない。照らす相手がいなければ意味がない。
太陽を照らすのは誰だろう。
月となる夢を見る。
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